MacBookで時間が合わないときの対処法と原因
MacBookを使っていると、突然時計がずれてしまい「あれ?時間が合わない…」と困った経験はありませんか?🕰️ 特にしばらく使わなかった後や、バッテリーが完全に切れた状態から起動したときに発生しやすい現象です。時間がずれると、ブラウザでのインターネット接続ができなくなったり、各種アプリが正常に動作しなくなったりと、思わぬトラブルの原因になります。
今回は、「MacBookの時間が合わない」という悩みを解決するための対処法を徹底解説します。単純な設定変更から、ターミナルを使った少し高度な修正方法まで、状況に応じた解決策をご紹介。バッテリー放電との関連性や、OSバージョン別の解決法の違いにも触れていきます。これでもう、時間ずれに悩まされることはなくなるでしょう!
記事のポイント!
- MacBookの時間がずれる主な原因と仕組み
- システム設定からできる簡単な対処法
- ターミナルコマンドを使った根本的な解決方法
- 時間ずれを防ぐための予防策

MacBookの時間が合わない主な原因はバッテリー放電
MacBookの時計がずれてしまう最も一般的な原因は、バッテリーの完全放電です。独自調査の結果、多くのユーザーが「長期間MacBookを使用せず、バッテリーが切れた状態で放置した後」に時間ずれの問題に直面していることがわかりました。
一般的なパソコンには、システムクロック(ソフトウェアクロック)とハードウェアクロック(RTC:Real Time Clock)の2種類の時計が搭載されています。システムクロックはOSが起動している間のみ動作し、ハードウェアクロックは専用のバッテリーで動いているため、本体の電源が切れていても時間を刻み続けます。
通常、MacBookを起動するとシステムクロックはハードウェアクロックと同期し、さらにインターネット上のNTP(Network Time Protocol)サーバーから正確な時刻を取得して調整します。しかし、バッテリーが完全に放電されると、ハードウェアクロックの情報も失われる可能性があります。
その結果、MacBookを再起動したときに正確な時間情報がなくなり、システムが古い時間情報を参照してしまうのです。さらに、何らかの理由でNTPサーバーとの同期がうまくいかないと、時間のずれが解消されない状態が続きます。
このような状態になると、単に見た目の問題だけでなく、セキュリティ証明書の有効期限検証などに影響し、Webブラウジングができなくなるなどの実用面での支障も出てきます。実際、多くのユーザーがサイトにアクセスできないことをきっかけに時間ずれに気づくケースが多いようです。
自動設定をオフにしてから再度オンにすると解決することが多い
MacBookの時間ずれを解決する最も簡単な方法は、日付と時刻の自動設定を一度オフにしてから再度オンにすることです。この方法は多くのケースで効果を発揮します。
具体的な手順は以下の通りです:
- 「システム設定」(または「システム環境設定」)を開きます
- 「一般」→「日付と時刻」の順に選択します
- 「日付と時刻を自動的に設定」のチェックを一度外します
- MacBookを再起動します
- 再起動後、再び「システム設定」→「一般」→「日付と時刻」を開きます
- 「日付と時刻を自動的に設定」にチェックを入れます
この操作により、MacBookは強制的にNTPサーバーと再同期を試みます。多くの場合、この単純な手順で時間ずれの問題は解消されます。実際、Apple公式コミュニティでも多くのユーザーがこの方法で解決できたと報告しています。
また、自動設定をオフにした状態で、手動で現在の正確な時間を設定してから再起動するという方法も効果的です。これにより、システムクロックがある程度正確な時間に設定された状態でNTPサーバーとの同期が行われるため、同期処理がスムーズになります。
ただし、この方法でも解決しない場合は、より根本的な問題が発生している可能性があります。そのような場合は、後述するターミナルコマンドを使った方法を試してみるとよいでしょう。
自動設定のオン・オフを切り替える方法は、OSのバージョンによって若干異なりますが、基本的な流れは同じです。MacOS Sonoma、Ventura、Montereyなど、最近のOSバージョンでは上記の手順で対応可能です。
システム設定から時間を修正する具体的な手順
MacBookの時間を手動で修正する具体的な手順をOSバージョン別に詳しく見ていきましょう。これは自動設定で解決しない場合や、インターネットに接続できない環境での対処法として役立ちます。
MacOS Ventura以降(Sonoma含む)の場合:
- 画面上部のAppleメニュー(りんごのマーク)をクリックします
- 「システム設定」を選択します
- 左側のメニューから「一般」を選択します
- 右側のパネルで「日付と時刻」をクリックします
- 「日付と時刻を自動的に設定」のトグルをオフにします
- 表示される日付と時刻の設定画面で、正確な時間を手動で設定します
- 完了したら、「日付と時刻を自動的に設定」を再度オンにすることもできます
MacOS Monterey以前の場合:
- 画面上部のAppleメニューをクリックします
- 「システム環境設定」を選択します
- 「日付と時刻」アイコンをクリックします
- 「日付と時刻」タブを選択します
- 画面左下の鍵アイコンをクリックし、管理者パスワードを入力して設定変更を許可します
- 「日付と時刻を自動的に設定」のチェックを外します
- カレンダーと時計を使って正確な日付と時刻を設定します
- 設定が完了したら、必要に応じて「日付と時刻を自動的に設定」を再度チェックします
どちらのバージョンでも、時間帯の設定も確認しておくことが重要です。「時間帯」または「タイムゾーン」の設定が正しくない場合、時間が数時間単位でずれて表示されることがあります。日本の場合は「日本標準時」または「Asia/Tokyo」を選択してください。
また、「現在の位置情報に基づいて時間帯を自動的に設定」のオプションがある場合は、これをオンにしておくと旅行先などでの時差調整も自動的に行われて便利です。ただし、このオプションを使用するには位置情報サービスを有効にしておく必要があります。
手動設定した後でも、インターネットに接続できる環境であれば、「日付と時刻を自動的に設定」を再度オンにすることをおすすめします。これにより、今後は自動的に正確な時刻が維持されます。

タイムサーバーを変更することで改善する可能性がある
MacBookの時間ずれが解消されない場合、タイムサーバーを変更することで問題が解決することがあります。デフォルトでは、MacBookはAppleのタイムサーバー(time.apple.com)を使用していますが、ネットワーク環境によってはこのサーバーとの通信がうまくいかないケースもあります。
タイムサーバーを変更する手順は以下の通りです:
MacOS Ventura以降の場合:
- 「ターミナル」アプリを開きます(Finderから「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「ターミナル」)
- 以下のコマンドを入力して実行します:
sudo systemsetup -setnetworktimeserver ntp.nict.jp
- 管理者パスワードを入力します
- 以下のコマンドで変更を適用します:
sudo systemsetup -setusingnetworktime offsudo systemsetup -setusingnetworktime on
MacOS Monterey以前の場合:
- 「システム環境設定」→「日付と時刻」→「日付と時刻」タブを開きます
- 「日付と時刻を自動的に設定」のチェックボックスにチェックを入れます
- 「Apple」と表示されているドロップダウンメニューをクリックします
- カスタムのタイムサーバーを入力するオプションが表示されます(表示されない場合はOptionキーを押しながらクリック)
- 例えば「ntp.nict.jp」などを入力します
日本では、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)が提供する「ntp.nict.jp」が高精度なタイムサーバーとして知られています。他にも、以下のようなタイムサーバーが利用可能です:
- time.google.com(Googleが提供)
- ntp.jst.mfeed.ad.jp(インターネットマルチフィード社が提供)
- ntp.ring.gr.jp(WIDEプロジェクトが提供)
タイムサーバーを変更した後は、MacBookを再起動して変更が適用されたかを確認してください。正確な時刻が表示されるようになれば、問題は解決しています。
なお、タイムサーバーによっては、特定のネットワーク環境からのアクセスを制限している場合があります。そのような場合は別のタイムサーバーを試してみるとよいでしょう。また、企業や学校のネットワーク環境では、ファイアウォールの設定によってNTPプロトコルの通信がブロックされている可能性もあるため、ネットワーク管理者に確認することも一案です。
ネットワーク接続の問題が時間設定に影響することも
MacBookの時間設定問題は、実はネットワーク接続の問題と密接に関連していることがあります。時刻同期はNTP(Network Time Protocol)サーバーとの通信に依存しているため、ネットワーク環境によっては同期がうまくいかないケースもあるのです。
特に以下のようなネットワーク関連の問題が時間設定に影響を与える可能性があります:
- ファイアウォールの設定: 企業や学校のネットワーク、公共Wi-Fiなどでは、セキュリティのためにNTPプロトコル(通常はUDPポート123番)がブロックされていることがあります。このような環境では時刻同期ができません。
- プロキシサーバーの使用: 一部のネットワーク環境では、インターネットアクセスにプロキシサーバーを経由する必要がありますが、NTP通信はプロキシ経由での通信に対応していないため、同期できない場合があります。
- DNSの問題: タイムサーバーのホスト名(例:time.apple.com)をIPアドレスに変換できないDNS問題があると、時刻同期ができなくなります。
- ネットワーク速度の問題: 極端に遅いネットワーク環境では、タイムアウトが発生して同期に失敗することがあります。
- VPNの使用: 一部のVPNサービスを使用している場合、NTP通信が正常に行われないことがあります。
このような問題が疑われる場合は、以下の対策を試してみるとよいでしょう:
- 異なるネットワーク環境(例:家庭のWi-Fiとモバイルテザリングを切り替える)で試してみる
- VPNを使用している場合は一時的に無効にしてみる
- MacBookのネットワーク設定をリセットする(「システム設定」→「ネットワーク」→「オプション」→「TCP/IPタブ」→「DHCPリースを更新」)
- DNSサーバーを変更してみる(例:Google Public DNS「8.8.8.8」や「8.8.4.4」に設定)
また、ネットワーク接続を確認するシンプルな方法として、ターミナルで以下のコマンドを実行してみるのも有効です:
ping time.apple.com
または
ping ntp.nict.jp
これらのコマンドが正常に応答を返せば、少なくともネットワーク接続自体は問題ないことが確認できます。
最終的にネットワーク接続の問題が原因である場合は、まずその問題を解決することで、時間設定の問題も自動的に解消されることが多いです。
OSバージョン別の時間ずれ修正方法の違い
MacBookの時間ずれに対する対処法は、使用しているmacOSのバージョンによって若干異なります。ここでは、主要なバージョン別の違いと最適な対処法を解説します。
macOS Sonoma (14.x)の場合:
Sonomaでは、「システム設定」の構造が従来と比べて大きく変わっています。時刻設定は次の手順で行います:
- 「システム設定」→「一般」→「日付と時刻」と進みます
- 時刻ずれが発生した場合は、自動設定をオフにして再起動後、再度オンにするのが効果的です
- 問題が解決しない場合は、後述するターミナルコマンドが特に有効です
- Sonomaでは、timedプロセスに加えて「mlruntimed」というプロセスも関与している場合があるため、両方を再起動する必要があることも
macOS Ventura (13.x)の場合:
Venturaもシステム設定のインターフェースが刷新されています:
- 「システム設定」→「一般」→「日付と時刻」と進みます
- Venturaでは、「日付と時刻を自動的に設定」トグルをオフにした後、再起動してからオンに戻すという手順が特に有効なケースが多いです
- ターミナルのコマンドは基本的に他のバージョンと同じですが、成功率が高いと報告されています
macOS Monterey (12.x)、Big Sur (11.x)の場合:
これらのバージョンでは従来の「システム環境設定」を使用します:
- 「システム環境設定」→「日付と時刻」と進みます
- 左下の鍵アイコンをクリックして変更を許可します
- 「日付と時刻を自動的に設定」のチェックボックスを操作します
- Montereyでは特に、com.apple.timed.plistファイルの削除が効果的との報告が多いです
macOS Catalina (10.15)以前の場合:
古いバージョンでは、システム設定の場所は同じですが、追加の対応が必要な場合があります:
- 「システム環境設定」→「日付と時刻」と進みます
- 古いバージョンではSMCのリセットが効果的な場合があります
- ターミナルコマンドも有効ですが、構文に若干の違いがある場合があります
各OSバージョン別の特徴的な解決方法をまとめると以下のようになります:
OSバージョン | 最も効果的な対処法 | 特記事項 |
---|---|---|
Sonoma (14.x) | ターミナルコマンドによるtimedプロセスの再起動 | mlruntimedプロセスも確認 |
Ventura (13.x) | 自動設定オフ→再起動→自動設定オン | キャッシュファイル削除も効果的 |
Monterey (12.x) | com.apple.timed.plistの削除 | 再起動も必須 |
Big Sur (11.x) | NTPサーバー変更とキャッシュ削除の組み合わせ | – |
Catalina以前 | SMCリセットと手動時刻設定の組み合わせ | ハードウェア側の問題の可能性も |
いずれのバージョンでも、基本的なアプローチは同じですが、上記の特性を理解しておくと問題解決の効率が上がるでしょう。

MacBookの時間が合わない問題の詳細解決法
MacBookの時間が合わない問題が基本的な設定変更では解決しない場合、より高度な対処法が必要になります。この章では、ターミナルを使ったコマンド操作や、根本的な問題解決のためのアプローチを詳しく解説します。バッテリー完全放電や長期間の不使用後に発生する時間ずれの問題に特に効果的な方法から、定期的なメンテナンス方法まで、幅広く対策を紹介していきます。
- ターミナルコマンドを使って時間ずれを根本的に解決する方法
- timedプロセスの再起動で時計を正確に戻す手順
- NTPサーバーと強制的に同期するコマンドの使い方
- キャッシュファイルを削除して時間設定をリセットする効果
- 時間ずれが発生しやすいMacBookモデルとその特徴
- 時間がずれる問題が再発しないようにするための予防策
- まとめ:MacBookの時間が合わない時の対処法
ターミナルコマンドを使って時間ずれを根本的に解決する方法
MacBookの時間ずれが一般的な設定変更では解決しない場合、ターミナルコマンドを使った根本的な解決方法が非常に効果的です。この方法は技術的な知識があまりなくても、手順通りに実行すれば対応可能です。
まずはターミナルアプリを開きましょう。Finderの「アプリケーション」→「ユーティリティ」フォルダ内にあります。または、Spotlight検索(⌘+スペース)で「ターミナル」と入力して起動することもできます。
以下に、最も効果的なコマンドとその実行手順を紹介します:
Step 1: 時刻同期のキャッシュファイルを削除する
sudo rm /var/db/timed/com.apple.timed.plist
このコマンドを入力すると、パスワードの入力を求められます。MacBookにログインする際のパスワードを入力してください(入力中は画面に何も表示されませんが、正常に入力されています)。
このコマンドで「No such file or directory」というエラーが表示された場合は、以下の代替コマンドを試してください:
sudo rm -f /private/var/db/timed/com.apple.timed.plist
Step 2: timedプロセスを特定する
ps -ef | grep timed
このコマンドを実行すると、現在動作している「timed」関連のプロセスが表示されます。出力結果は以下のようになります:
266 113 1 0 11:49PM ?? 0:00.41 /usr/libexec/timed
502 2887 2850 0 3:15AM ttys001 0:00.00 grep timed
ここで重要なのは、「/usr/libexec/timed」と表示されている行の数字です(この例では「113」)。この数字はプロセスIDで、次のステップで使用します。
Step 3: timedプロセスを再起動する
sudo kill [プロセスID]
例えば、上記の例ではプロセスIDが「113」なので:
sudo kill 113
と入力します。再度パスワードを求められる場合は入力してください。
Step 4: NTPサーバーと強制的に同期する
sudo sntp -sS ntp.nict.jp
このコマンドはNTP(Network Time Protocol)サーバーとの強制同期を行います。「ntp.nict.jp」は日本の標準時を提供する信頼性の高いサーバーです。
もし上記のコマンドでエラーが出る場合は、Appleのタイムサーバーを代わりに使ってみましょう:
sudo sntp -sS time.apple.com
Step 5: 時刻が正しく設定されたか確認する
date
このコマンドで現在システムに設定されている日時が表示されます。正確な時刻が表示されていれば、問題は解決しています。
上記の一連のコマンドで問題が解決しない場合は、もう一つの方法として以下のように一括実行することも可能です:
sudo rm /var/db/timed/com.apple.timed.plist
sudo kill $(ps -axo pid,comm | grep '/usr/libexec/timed' | awk '{print $1}')
sudo sntp -sS ntp.nict.jp
これらのコマンドを実行すると、時刻同期のキャッシュをクリアし、時刻同期プロセスを再起動し、NTPサーバーと強制的に同期を行います。多くの場合、これで時間ずれの問題は解決します。
timedプロセスの再起動で時計を正確に戻す手順
MacBookの時間ずれ問題を解決する重要な方法として、「timed」プロセスの再起動があります。「timed」はmacOSの時間同期を担当するシステムプロセスで、このプロセスが正常に動作していないと時間が正確に同期されません。
timedプロセスの再起動は、特にバッテリーが完全に放電した後や、長期間MacBookを使用しなかった後に発生する時間ずれに効果的です。以下に、詳細な手順を説明します。
Step 1: timedプロセスを確認する
まず、ターミナルを開いて以下のコマンドを実行し、現在動作しているtimedプロセスを確認します:
ps aux | grep timed
出力例:
root 1234 0.0 0.0 4305436 1528 ?? Ss 10:23AM 0:00.96 /usr/libexec/timed
username 5678 0.0 0.0 4267768 832 s000 S+ 2:45PM 0:00.00 grep timed
ここで注目すべきは、/usr/libexec/timed
と表示されている行です。この行の2列目の数字(例では「1234」)がプロセスIDです。この番号を覚えておきましょう。
最近のmacOSバージョン(特にM1/M2チップ搭載モデル)では、以下のように別のtimedプロセスも表示される場合があります:
501 2007 1 0 9:23PM ?? 0:00.13 /usr/libexec/mlruntimed
こちらのプロセスも関連している可能性があるため、どちらのプロセスIDも控えておくと良いでしょう。
Step 2: timedプロセスをキルする
次に、以下のコマンドを実行して、timedプロセスを終了(キル)します:
sudo kill [プロセスID]
例えば、先ほどのプロセスIDが「1234」だった場合:
sudo kill 1234
管理者パスワードを求められたら入力します。
mlruntimedプロセスも見つかった場合は、同様にキルします:
sudo kill [mlruntimedのプロセスID]
Step 3: システムが自動的にtimedプロセスを再起動するのを確認する
timedプロセスをキルすると、macOSは自動的に新しいtimedプロセスを起動します。この再起動により、時刻同期の問題が解消されることが多いです。再起動されたかどうかを確認するには、再度以下のコマンドを実行します:
ps aux | grep timed
新しいプロセスIDが表示されていれば、再起動は成功しています。
Step 4: 強制的にNTP同期を実行する
timedプロセスの再起動後、以下のコマンドでNTPサーバーとの同期を強制的に実行します:
sudo sntp -sS ntp.nict.jp
または
sudo ntpdate -u time.apple.com
Step 5: 時刻が正確になったか確認する
最後に、以下のコマンドで現在の時刻を確認します:
date
時刻が正確になっていれば、問題は解決しています。
より簡単なワンライナーコマンド
すべての手順をまとめた一括実行コマンドもあります:
sudo kill $(ps -axo pid,comm | grep '/usr/libexec/timed' | awk '{print $1}') && sudo sntp -sS ntp.nict.jp
これは、timedプロセスをキルして、NTPサーバーとの同期を一度に行うコマンドです。
timedプロセスの再起動は、システム設定からの変更だけでは解決しない時間ずれ問題に特に効果的です。この方法で問題が解決しない場合は、次に説明するキャッシュファイルの削除と組み合わせることで、さらに効果を高めることができます。
NTPサーバーと強制的に同期するコマンドの使い方
MacBookの時間を正確に保つ上で重要な役割を果たすのが、NTP(Network Time Protocol)サーバーとの同期です。通常、この同期は自動的に行われますが、問題が発生した場合は手動で強制的に同期を行うことができます。ここでは、NTPサーバーとの強制同期を行うコマンドの詳細な使い方を解説します。
基本的なNTP同期コマンド
ターミナルで以下のコマンドを実行することで、NTPサーバーとの強制同期が可能です:
sudo sntp -sS [NTPサーバーのアドレス]
例えば、日本の標準時を提供する情報通信研究機構(NICT)のNTPサーバーを使用する場合:
sudo sntp -sS ntp.nict.jp
または、Appleの提供するNTPサーバーを使用する場合:
sudo sntp -sS time.apple.com
このコマンドを実行すると、パスワードの入力を求められます。MacBookのログインパスワードを入力してください。
コマンドの出力結果の解釈
コマンド実行後、以下のような出力が表示されます:
+0.039385 +/- 0.000000 ntp.nict.jp 133.243.238.163
この出力の解釈は以下の通りです:
- 最初の数値(+0.039385):ローカルシステム時計とNTPサーバー間の時間差(秒単位)
- 2番目の数値(+/- 0.000000):測定の不確かさ
- 残りの部分:使用したNTPサーバーの名前とIPアドレス
もし出力の最初の数値が大きい場合(例:+6819667.280871)、これはシステム時計が大幅にずれていることを示しています。このような場合、以下の追加手順が必要かもしれません。
代替コマンド
古いmacOSバージョンや、sntpコマンドがエラーを返す場合は、代わりに以下のコマンドを試すことができます:
sudo ntpdate -u [NTPサーバーのアドレス]
例:
sudo ntpdate -u time.apple.com
DNSエラーが発生する場合の対応
「DNS lookup failure」などのエラーが表示される場合は、DNSの問題が発生している可能性があります。この場合、以下の対処法を試してみましょう:
- IPアドレスを直接指定する:
sudo sntp -sS 133.243.238.163 # ntp.nict.jpのIPアドレス
またはsudo sntp -sS 17.253.14.253 # time.apple.comのIPアドレスの一例
- DNSサーバーを変更する: システム設定でDNSサーバーをGoogle Public DNS(8.8.8.8, 8.8.4.4)やCloudflare DNS(1.1.1.1)などの公開DNSサーバーに変更してから再試行する
定期的な同期の設定
NTPサーバーとの強制同期を定期的に自動実行したい場合は、cronジョブを設定することができます:
- ターミナルで以下のコマンドを実行:
crontab -e
- 以下の行を追加(例:毎日午前3時に同期):
0 3 * * * sudo sntp -sS ntp.nict.jp
- エディタを保存して終了(vimの場合は、「:wq」)
NTPサーバーとの強制同期は、特に長期間電源が切れていた後や、時間ずれが大きい場合に効果的です。システム設定からの自動設定がうまく機能しない場合でも、この方法でほとんどの時間ずれの問題を解決できるでしょう。

キャッシュファイルを削除して時間設定をリセットする効果
MacBookの時間ずれ問題が解決しない場合、時刻同期に関連するキャッシュファイルを削除することで問題が解消されることがあります。特に重要なのは「com.apple.timed.plist」というファイルで、このファイルには時刻同期の設定情報やキャッシュが保存されています。
このキャッシュファイルが破損したり、古い情報を保持したままになったりすると、時刻同期が正常に機能しなくなることがあります。以下では、このファイルを安全に削除し、時間設定をリセットする方法と、その効果について詳しく解説します。
キャッシュファイル削除の具体的な手順
- まず、ターミナルアプリを開きます。
- 以下のコマンドを入力して実行します:
sudo rm /var/db/timed/com.apple.timed.plist
- 管理者パスワードを入力します。
- 「No such file or directory」というエラーが表示された場合は、以下の代替コマンドを試してください:
sudo rm -f /private/var/db/timed/com.apple.timed.plist
キャッシュファイル削除の効果
このキャッシュファイルを削除することで、次のような効果が期待できます:
- 設定のリセット: 時刻同期に関する設定がデフォルトの状態にリセットされます。これにより、誤った設定や破損した設定情報が原因で発生していた問題が解消されます。
- 古い情報の除去: 特に長期間電源が切れていた場合や、以前のOSバージョンから更新した場合など、古い時刻情報が残ってしまっていることがあります。キャッシュを削除することで、そうした古い情報が除去されます。
- 同期プロセスの再初期化: キャッシュファイルが削除されると、次回のシステム起動時に新しいキャッシュファイルが生成され、時刻同期プロセスが再初期化されます。
キャッシュ削除後の追加手順
キャッシュファイルを削除した後は、以下の追加手順を実施することで、より確実に問題を解決できます:
- timedプロセスの再起動:
sudo killall timed
または前述のプロセスID特定方法を使用 - 強制的なNTP同期:
sudo sntp -sS ntp.nict.jp
- システムの再起動:
sudo shutdown -r now
- 再起動後、「システム設定」で時刻の自動設定が有効になっていることを確認します。
キャッシュファイルの内容確認(上級者向け)
削除前にキャッシュファイルの内容を確認したい場合は、以下のコマンドを使用できます:
sudo defaults read /var/db/timed/com.apple.timed.plist
または、XML形式で確認する場合:
sudo plutil -convert xml1 /var/db/timed/com.apple.timed.plist -o - | cat
これらのコマンドは、問題のデバッグや、ファイルがどのように破損しているかを確認するのに役立ちます。
キャッシュファイルの削除は、特に以下のような状況で効果的です:
- バッテリーが完全に放電した後
- OSをアップグレードした後
- タイムゾーンを変更した後
- 長期間MacBookを使用していなかった後
多くのユーザーが報告しているように、このキャッシュファイルの削除とtimedプロセスの再起動の組み合わせは、頑固な時間ずれ問題を解決する最も効果的な方法の一つです。
時間ずれが発生しやすいMacBookモデルとその特徴
すべてのMacBookモデルで時間ずれが発生する可能性はありますが、特定のモデルやハードウェア構成では、この問題がより頻繁に発生する傾向があります。独自調査の結果を基に、時間ずれが発生しやすいMacBookモデルとその特徴について解説します。
Intel搭載の古いMacBookモデル
2018年以前の Intel プロセッサ搭載モデル(特にMacBook Pro 2015-2018、MacBook Air 2017-2018)では、比較的時間ずれの問題が報告されることが多いようです。これらのモデルでは、以下の特徴が見られます:
- バッテリー経年劣化の影響: 使用年数が長くなると、バッテリーの劣化により、システムがスリープ状態から復帰する際に時間ずれが発生しやすくなります。
- CMOS/PRMBバッテリーの問題: MacBookのメインバッテリーとは別に、マザーボード上にあるCMOSバッテリー(一部のモデルではPRMBとも呼ばれる)が内部時計の維持に使われています。このバッテリーが弱くなると、電源が切れた状態での時間管理が不安定になります。
- ハードウェアクロックの精度: 古いモデルでは、ハードウェアクロックの精度が比較的低く、時間のずれが蓄積しやすい傾向があります。
Apple SiliconチップのMacBookモデル
M1/M2チップ搭載のMacBook(2020年以降)では、ハードウェアアーキテクチャの変更により、時間管理のメカニズムが異なります。これらのモデルでの時間ずれの特徴には以下のようなものがあります:
- ディープスリープからの復帰時の問題: 特にmacOS Monterey以降、ディープスリープモードからの復帰時に時間ずれが発生するケースがあります。
- 新しいプロセス構成: M1/M2モデルでは「mlruntimed」という追加プロセスが時間管理に関与しているため、問題解決には両方のプロセスへの対応が必要な場合があります。
- バッテリー消費の最適化: Apple Siliconモデルは低電力モードの管理が異なり、長時間使用していない状態からの復帰時に時間同期に問題が生じることがあります。
特定のmacOSバージョンとの相性
また、特定のmacOSバージョンでは時間ずれの問題が多く報告されています:
- macOS Big Sur (11.x): 特に初期バージョンでは、時間同期の問題が多く報告されました。
- macOS Ventura (13.x): 一部のユーザーからは、Venturaにアップデート後に時間ずれの問題が発生し始めたという報告もあります。
- OSアップグレード後: 大きなOSアップデート(例:MontereyからVenturaへ)の後に、時間同期の問題が発生することがあります。
共通する環境要因
モデルを問わず、以下のような環境要因も時間ずれの発生に関連しています:
- 長期間のバッテリー放電: どのモデルでも、バッテリーが完全に放電した状態で長期間放置すると、時間ずれの問題が発生しやすくなります。
- 頻繁な時間帯の変更: 異なる時間帯を移動する際に頻繁にタイムゾーン設定を変更すると、時間同期の問題が発生することがあります。
- ネットワーク環境: 特定のネットワーク環境(企業ネットワークやVPN使用時など)では、NTPサーバーとの同期が妨げられることがあります。
もし時間ずれの問題が頻繁に発生する場合、特に古いモデルを使用している場合は、前述の解決策に加えて、Apple正規サービスプロバイダーでのハードウェア診断も検討する価値があるかもしれません。バッテリー交換やCMOSバッテリーの点検が必要な場合もあります。
時間がずれる問題が再発しないようにするための予防策
MacBookの時間ずれ問題は、一度解決しても再発することがあります。ここでは、問題が再発しないようにするための効果的な予防策を紹介します。日常的なメンテナンスや設定の最適化を通じて、安定した時間管理を実現しましょう。
1. バッテリー管理の最適化
時間ずれの主な原因の一つがバッテリーの完全放電であるため、バッテリー管理は非常に重要です:
- 定期的な充電: 長期間MacBookを使用しない場合でも、少なくとも1〜2ヶ月に一度は起動して充電することをおすすめします。バッテリーレベルを20〜80%の間に保つのが理想的です。
- 最適化充電を有効にする: macOS Catalina以降では、「システム設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態」で「最適化充電」オプションを有効にしておくと、バッテリーの寿命を延ばす助けになります。
- 電源アダプターの使用: 長期間使用しない場合は、電源アダプターに接続したままにしておくことも一つの選択肢です。最新のmacOSでは過充電を防ぐ機能があります。
2. システム設定の最適化
時間同期に関するシステム設定を最適化することで、問題の再発を防げます:
- 自動時刻設定の確認: 「システム設定」→「一般」→「日付と時刻」で「日付と時刻を自動的に設定」が常にオンになっていることを確認しましょう。
- 位置情報の許可: 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「位置情報サービス」→「システムサービス」で「時間帯の設定」をオンにしておくと、場所に基づいた時間帯の自動調整が可能になります。
- 信頼性の高いNTPサーバーの設定: 前述のターミナルコマンドを使って、信頼性の高いNTPサーバー(ntp.nict.jpなど)を設定しておくことも有効です。
3. 定期的なシステムメンテナンス
システム全体の健全性を維持することで、時間ずれを含む様々な問題を予防できます:
- 最新のOSにアップデート: Appleは定期的にシステムの改善を行っているため、常に最新のmacOSを使用することをおすすめします。
- 定期的な再起動: 少なくとも週に一度はMacBookを完全に再起動することで、各種システムプロセスがリフレッシュされます。
- メンテナンススクリプトの実行: 月に一度程度、以下のようなメンテナンスコマンドをターミナルで実行するのも良いでしょう:
sudo periodic daily weekly monthly
4. 自動化ソリューション
技術的な知識がある方は、時刻同期を自動化するスクリプトを設定できます:
- LaunchDaemonの作成: 起動時やスリープからの復帰時に自動的にNTP同期を行うLaunchDaemonを設定できます。
- 自動NTP同期スクリプト: 以下のようなシンプルなシェルスクリプトを作成し、定期的に実行するようスケジュールできます:
#!/bin/bash # 時刻同期を強制的に行うスクリプト sudo sntp -sS ntp.nict.jp
5. ハードウェアのチェック
頻繁に時間ずれが発生する場合は、ハードウェアの問題も考慮すべきです:
- バッテリー状態の確認: 「システム設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態」でバッテリーの健全性を確認し、必要に応じて交換を検討します。
- Apple診断: 起動時にDキーを押しながら電源を入れると、Apple診断が実行され、ハードウェアの問題を検出できます。
- SMC/NVRAMのリセット: 時間ずれが頻発する場合は、SMC(System Management Controller)やNVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)のリセットも効果的です。
これらの予防策を実施することで、MacBookの時間ずれ問題の再発リスクを大幅に減らすことができます。特に、長期間使用しないことが予想される場合は、事前にバッテリー管理に注意を払うことが最も重要です。
まとめ:MacBookの時間が合わない時の対処法
最後に記事のポイントをまとめます。
- MacBookの時間ずれはバッテリーの完全放電が主な原因
- システムクロックとハードウェアクロックの同期不良が技術的原因
- 「日付と時刻を自動的に設定」のオン/オフ切り替えが最も簡単な解決法
- 再起動を挟むことでさらに効果を高められる
- タイムサーバーの変更でネットワーク環境による時刻同期の問題を解決できる
- ターミナルコマンドを使った根本解決が効果的
- timedプロセスの再起動で多くの頑固な時間ずれ問題が解決する
- com.apple.timed.plistキャッシュファイルの削除が特に効果的
- NTPサーバーとの強制同期コマンドで即時に時間を修正可能
- 古いIntelモデルと新しいApple Siliconモデルで原因と対処法が一部異なる
- バッテリー管理の最適化が再発防止の鍵
- 定期的なシステムメンテナンスで安定した時間管理を実現できる
