高音質のワイヤレスオーディオを楽しみたいと思っているMacユーザーの中で、特にSonyのLDACコーデックについて興味を持っている方は多いでしょう。LDACは最大990kbpsという高いビットレートで音楽を伝送できる高品質なBluetoothオーディオコーデックですが、MacBookとの相性についての情報は断片的で混乱しがちです。この記事では、MacBookとLDACの互換性について明確にしていきます。
独自調査の結果、MacBookを含むAppleデバイスは現時点でLDACコーデックを正式にサポートしていないことが分かりました。しかし、この制限を回避する方法や代替手段は存在します。外部DAC、トランスミッター、特定のポータブルプレーヤーなど、MacBookでも高音質なオーディオ体験を実現するための選択肢を詳しく解説していきます。
記事のポイント！
- MacBookはネイティブでLDACコーデックをサポートしていない理由と現状
- MacBookで利用可能な代替Bluetoothコーデックとその音質特性
- 外部デバイスを使ってMacBookからLDACを利用する方法
- MacBookで音質を最大限に高めるための設定と選択肢
ポチップ
MacBook と LDAC の互換性と現状
- 残念ながらMacBookはLDAC非対応である
- MacBook ProでもMacBook AirもLDAC対応していない
- M1/M2チップのMacBookもLDAC非対応である
- MacBookの標準対応コーデックはAACとSBCのみ
- LDACに対応していない理由はAppleの方針による
- MacBookのオーディオ出力音質改善方法はある
残念ながらMacBookはLDAC非対応である
独自調査の結果、現時点において全てのMacBookモデルはLDACコーデックを公式にサポートしていないことが明らかになっています。LDACはSonyが開発した高品質Bluetoothオーディオコーデックで、最大990kbpsという高いビットレートでオーディオを伝送可能です。これは標準的なSBCコーデック（約328kbps）の約3倍のデータ量にあたります。
RedditやApple Communityなどのフォーラムでは、多くのユーザーがMacBookでLDACを使用する方法を模索していますが、公式なサポートがないため困難な状況です。「is there any hope for support LDAC bluetooth codec in future」というApple Communityの質問スレッドからも、現状の不満とサポートへの期待が見て取れます。
LDACの最大の特徴は、CDクオリティ（16bit/44.1kHz）を超える高解像度オーディオをワイヤレスで伝送できる点です。特にハイレゾ音源を聴く際、その差は顕著になります。MacBookユーザーがLDACに対応したヘッドホンやイヤホン（Sony WH-1000XM4/XM5シリーズなど）を使用しても、MacBook側がLDACをサポートしていないため、その優れた性能を活かすことができません。
Apple製品ではAACコーデックが中心的に使用されており、確かに一般的な用途ではAACも十分な音質を提供します。しかし、オーディオマニアやプロフェッショナルユーザーにとっては、LDACのようなより高品質なコーデックへのアクセスがないことは制限と感じられるでしょう。
この状況は、将来的に変わる可能性はありますが、現時点ではAppleがLDACサポートの予定を公表していません。次の見出しでは、MacBookの各モデルにおけるLDACサポートの詳細を見ていきましょう。
MacBook ProでもMacBook AirもLDAC対応していない
独自調査によると、MacBook Proモデルも含めて、AppleのノートPCラインナップ全体でLDACコーデックのサポートは確認されていません。高性能なMacBook Proでさえ、Bluetoothオーディオ伝送においてはLDACをネイティブにサポートしていないのです。
Redditでの「Play LDAC on MacBook Pro 16” | macOS 12 with wh-1000xm5?」という投稿も、MacBook Proユーザーがこの制限に直面している証拠です。SonyのフラグシップヘッドホンWH-1000XM5はLDACに対応していますが、MacBook Proと接続すると、より低いビットレートのコーデック（AACまたはSBC）で動作します。
MacBook Airも同様に、LDAC非対応です。軽量で持ち運びに便利なMacBook Airは、音楽を聴きながら移動するユーザーに人気ですが、LDACの利点を直接活用することはできません。
技術的には、MacBookのハードウェア自体がLDACに対応できない訳ではないと考えられます。むしろ、ソフトウェアレベルでの対応が行われていないことが原因です。macOSがLDACコーデックのデコード/エンコードライブラリを組み込んでいないため、接続時に利用可能なコーデックとしてLDACが選択肢に現れないのです。
Head-Fi.orgのフォーラムでも、MacBook Proユーザーが「What DAC/AMP to use with a MacBook Pro to stream audio to LDAC Bluetooth headphones」というタイトルで外部デバイスによる解決策を探しています。これも、MacBook Proが直接LDACをサポートしていないことを示しています。
M1/M2チップのMacBookもLDAC非対応である
最新のAppleシリコンチップ（M1、M2およびその派生モデル）を搭載したMacBookモデルでも、残念ながらLDACコーデックのサポートは確認されていません。AppleがIntelプロセッサーからAppleシリコンへの移行を進めたことで、多くの性能向上が実現しましたが、Bluetoothオーディオコーデックのサポート状況に変化はありませんでした。
確認された情報によれば、M1チップ搭載のMacBookでSonomaなどの最新macOSを使用しても、LDACコーデックは選択肢として表示されません。一人のユーザーは次のように報告しています：「Audio Technica ATH-M20xBT Bluetooth explorer/Audio options can’t be launched on M1 chipset with sonoma. By default i’m getting this in console: A2DP configured at 44.1 KHz. Codec: AAC-LC, VBR max: 221 kbps.」
M1/M2世代のMacBookでは、Bluetoothの安定性や接続範囲などの面で改善が見られるものの、対応コーデックの種類が増えたわけではありません。一部のユーザーはAppleシリコンへの移行に伴い、以前のIntelベースのMacで利用可能だったaptXコーデックもサポートが終了したと報告しています。
Apple Silicon搭載モデルでは、Bluetoothスタックが再設計された可能性がありますが、それによってLDACのような追加コーデックが導入されることはありませんでした。むしろ、AppleはAACコーデックへの依存を強化している傾向が見られます。
HomeBrew Discussionでのコメントによれば、「Mac Mini M1でのaptXサポートに関する明確な回答を探しています。古い世代のMacではサポートされていましたが、VenturaではaptXオプションが削除されたのではないかと思います」との懸念が示されています。これはApple Silicon世代でコーデックのサポートが縮小している可能性を示唆しています。
MacBookの標準対応コーデックはAACとSBCのみ
独自調査の結果、現在のMacBookがネイティブでサポートしているBluetoothオーディオコーデックは、主にAACとSBCの2種類であることが確認されています。SBCはSubband Codingの略で、Bluetoothオーディオのベースとなる基本的なコーデックです。一方、AACはAdvanced Audio Codingの略で、より効率的な圧縮と良好な音質を提供します。
AACコーデックはApple製品で広く採用されており、AppleはAACをそのエコシステム内の標準コーデックとして推進しています。AACはiTunes Store、Apple Musicなどでも使用される形式で、Apple製品間の一貫性を保つ戦略の一環と考えられます。
ユーザーの報告によると、MacBookとBluetoothヘッドホンを接続すると、次のような設定が確認できます：「A2DP configured at 44.1 KHz. Codec: AAC-LC, VBR max: 256 kbps. 1 frames * (12+744) bytes = 756 per RTP (max=879) every 23.22 ms」。これはAACコーデックが可変ビットレート（VBR）モードで、最大256kbpsで動作していることを示しています。
一部の古いMacモデル（特にIntelプロセッサ搭載機）では、aptXコーデックもサポートされていたという報告があります。aptXはQualcomm社が開発したコーデックで、SBCよりも良好な音質を提供しますが、近年のmacOSアップデートではaptXサポートが削除された可能性が高いと見られています。
GitHubのディスカッションによれば、「Bluetoothエクスプローラー」というApple開発者ツールを使用して、かつてはaptXを強制的に有効化することも可能でしたが、最新のmacOSバージョンではこの方法も機能しなくなっているとの報告があります。
SBCとAACの音質差は、一般的な使用ではそれほど顕著ではありませんが、オーディオマニアやプロフェッショナルユーザーにとっては、LDAC（最大990kbps）やaptX HD（約576kbps）などの高ビットレートコーデックへのアクセスがないことは制限と感じられるでしょう。
LDACに対応していない理由はAppleの方針による
AppleがMacBookにLDACコーデックを採用していない理由には、いくつかの要因が考えられます。まず第一に、LDACはSony社の独自技術であり、Appleは競合他社の技術よりも自社または業界標準の技術を優先する傾向があります。
Apple Communityのレスポンスによれば、「LDACはSonyによって開発されたコーデックで、Bluetooth経由で高品質オーディオの伝送を可能にします。絶対的な最高ではないものの、AACも多くのリスナーにとって良好な音質を提供します」と述べられています。これは、AppleがAACコーデックで十分な品質が確保できると考えていることを示唆しています。
ビジネス面では、AppleはAirPodsを含む自社のオーディオ製品ラインナップを保護する戦略をとっています。AirPodsはLDACに対応していないため、MacBookがLDACをサポートしても、Apple製品間の一貫したユーザー体験が実現できません。Appleのエコシステム戦略は、自社製品間の緊密な統合に重点を置いており、外部の独自技術を採用することは、この戦略と矛盾する可能性があります。
また、技術的な側面からは、LDACのエンコード/デコードには比較的高い処理能力が必要とされ、バッテリー消費にも影響します。ユーザーの報告によれば、「LDAC 990で市街地や混雑した場所ではBluetoothの安定性が損なわれる」という問題もあります。Appleは製品の安定性とバッテリー効率を重視するため、これらの要因もLDAC採用に慎重な理由かもしれません。
将来的には、ハイレゾオーディオの需要増加に伴い、AppleもLDACまたは独自の高品質コーデックを導入する可能性はありますが、現時点では公式な発表はありません。HomeBrew Discussionでのコメントにあるように、「LDACやAptX HDをmacOSで有効にすることができれば、オーディオマニアにとっては即座にヒーローになる」という期待は高まっています。
ちなみにAppleは最近、Apple Musicでロスレスおよびハイレゾオーディオのサポートを開始しているため、将来的には高品質なワイヤレス伝送方法を導入する可能性も考えられますが、現時点では推測の域を出ません。
MacBookのオーディオ出力音質改善方法はある
MacBookでLDACが使用できないことは残念ですが、音質を向上させるための方法はいくつか存在します。AACコーデックの設定を最適化することで、可能な限り良好な音質を得ることが可能です。
まず、AACのビットレートを調整する方法があります。GitHubの情報によれば、ターミナルから以下のようなコマンドを実行することで、AACのビットレートを向上させることができるかもしれません：
defaults write bluetoothaudiod "Enable AAC codec" -bool true
defaults write bluetoothaudiod "AAC Bitrate" -int 320
defaults write bluetoothaudiod "AAC max packet size" -int 644
ただし、これらの設定はmacOSのバージョンによっては機能しない場合もあります。Sonomaなどの最新バージョンでは、別のアプローチが必要かもしれません。
また、Apple Developer ToolsからダウンロードできるBluetoothエクスプローラーを使用すると、より詳細なオーディオ設定が可能になります。GitHubの情報によれば、「Tools > Audio Options」から「Enable AAC」を有効にし、ビットレートを調整することができます。ただし、再送率（retransmission percentage）を監視し、ビットレートを上げすぎると音声が途切れる可能性があることに注意が必要です。
SBC（Subband Coding）コーデックを使用する場合でも、ビットプールの設定を調整することで音質を向上させることができます。以下のようなコマンドが参考になります：
defaults write com.apple.BluetoothAudioAgent "Apple Bitpool Max (editable)" 80
defaults write com.apple.BluetoothAudioAgent "Apple Initial Bitpool (editable)" 80
これらの設定を適用した後は、Bluetoothデーモンを再起動する必要があります：
sudo pkill bluetoothd
より根本的な解決策としては、後述する外部DAC/アンプやトランスミッターを使用する方法が効果的です。これらのデバイスは、MacBookの限界を超えた高品質オーディオ体験を提供する可能性があります。
ポチップ
MacBook で LDAC を利用する代替手段と方法
- LDAC対応トランスミッターがMacBookでの解決策になる
- FiiO BTA30ProなどのトランスミッターでLDAC送信可能
- USB-DACとLDAC対応デバイスの組み合わせ方法
- MacBookでハイレゾ音源を楽しむ設定方法
- MacBookでサンプリングレート変更で音質向上させる方法
- 有線接続でハイレゾ音質を確保する選択肢
- まとめ：MacBook LDACの今後の可能性と現状の対策
LDAC対応トランスミッターがMacBookでの解決策になる
MacBookでLDACを直接サポートしていない問題を解決する最も効果的な方法の一つは、LDAC対応のBluetoothトランスミッターを使用することです。これらの外部デバイスは、MacBookからのオーディオ信号を受け取り、LDAC形式でBluetoothヘッドホンに送信する橋渡し役を果たします。
トランスミッターの基本的な仕組みは以下の通りです：
- MacBookからUSB、光デジタル（TOSLINK）、または3.5mmアナログ出力を通じてオーディオ信号をトランスミッターに送信
- トランスミッターがその信号を受け取り、LDAC形式にエンコード
- エンコードされた信号がLDAC対応ヘッドホンに送信される
この方法の最大の利点は、MacBook側の制限をバイパスし、LDACの高ビットレート伝送（最大990kbps）を活用できることです。特にハイレゾ音源やロスレスオーディオを聴く際に、その差は顕著になります。
Head-Fi.orgのフォーラムでは、あるユーザーが「MacBookからLDAC対応ヘッドホンに高品質のオーディオをストリーミングするためのDAC/AMPを探している」と投稿しており、多くの回答がトランスミッターの使用を推奨しています。
トランスミッターを選ぶ際には、入力タイプ（USB、光デジタル、アナログなど）、サポートするコーデック（LDACだけでなくaptX HDやLDなども重要）、サンプリングレートのサポート（最大96kHz/24bitなど）、そして価格を考慮することが重要です。
ただし、この方法にはいくつかの注意点があります。追加のデバイスが必要になるため、ポータビリティが犠牲になること、セットアップが少し複雑になること、そして追加の電源が必要になる場合があることなどです。次の見出しでは、具体的なトランスミッター製品と設定について詳しく見ていきましょう。
FiiO BTA30ProなどのトランスミッターでLDAC送信可能
LDACコーデックを活用するための具体的な製品として、FiiO BTA30ProはMacBookユーザーに人気のあるBluetoothトランスミッターです。Head-Fi.orgのフォーラムでも、複数のユーザーがこの製品を推薦しています。
FiiO BTA30Proの主な特徴は以下の通りです：
- LDAC、aptX HD、aptX LL、aptX、AACなど多数のコーデックをサポート
- USB、光デジタル（TOSLINK）、同軸デジタル、3.5mmアナログなど複数の入力オプション
- 最大96kHz/24bitのハイレゾオーディオに対応
- 送信モードと受信モードの両方をサポート
- デュアルアンテナ設計による安定した接続
MacBookとFiiO BTA30Proを接続するには、MacBookのUSB-CポートからBTA30ProのUSB入力へケーブルで接続します。BTA30Pro側で送信モードとLDACコーデックを選択し、LDACに対応したヘッドホンをペアリングすることで、高品質なオーディオストリーミングが可能になります。
ただし、Reddit上の情報によれば、「USB入力を使用すると、BTA30は16/48に制限される」との報告もあります。より高い解像度を求める場合は、MacBookの光デジタル出力（3.5mmコンボジャックを持つモデルではアダプターが必要）を使用することで、この制限を回避できる可能性があります。
FiiO BTA30Pro以外にも、いくつかの選択肢があります：
- iFi Zen Blue V2 – 高品質なDACを搭載し、多様なコーデックをサポート
- Creative BT-W4 – コンパクトでポータブル、USB-C接続に対応
- Qudelix-5K – ポータブルでありながらLDAC送信にも対応（アプリでの詳細設定も可能）
これらの製品は価格帯や機能が異なるため、自分の用途や予算に合わせて選択することが重要です。また、定期的にファームウェアアップデートをチェックし、最新の機能や安定性改善を適用することをお勧めします。
USB-DACとLDAC対応デバイスの組み合わせ方法
より高度な音質を追求する場合、USB-DACとLDAC対応デバイスを組み合わせるアプローチも効果的です。この方法では、まずMacBookからの信号をUSB-DACで処理し、その後LDAC対応デバイスを通じてワイヤレスヘッドホンに送信します。
この組み合わせのセットアップは以下のステップで行います：
- 高品質なUSB-DACをMacBookに接続（USB-C接続が一般的）
- USB-DACからのアナログ出力をLDAC対応トランスミッターの入力に接続
- トランスミッターでLDACコーデックを選択し、ヘッドホンとペアリング
USB-DACの役割は、MacBookのデジタル信号を高精度でアナログに変換することです。良質なDACは、より正確なサンプリングと変換を行い、音質の向上に貢献します。Head-Fi.orgのフォーラムによれば、「高品質DAC + LDACトランスミッター」の組み合わせは、特に細部の解像度とダイナミックレンジを向上させるのに効果的です。
もう一つの興味深いアプローチは、HiBy R3 ProやFiiO M6などのポータブルオーディオプレーヤーを活用する方法です。これらのデバイスはUSB DACモードとBluetoothトランスミッターモードの両方をサポートしているため、一台で二役をこなすことができます。Head-Fi.orgのユーザーによれば、「HiBy R3 ProはLDACと双方向Bluetooth機能をサポートしており、MacBook ProのDACとして機能し、Bluetoothヘッドホンにシグナルを提供できるはずです」と報告されています。
このセットアップの利点は、DAC部分とトランスミッター部分をそれぞれ専門的なデバイスが担当することで、全体の音質を向上させることです。ただし、複数のデバイスと接続が必要になるため、セットアップが複雑になり、ポータビリティも低下します。
使用するUSB-DACには、Chord Mojo 2、iFi hip-dac、AudioQuest DragonFlyシリーズなどが人気で、これらを前述のLDACトランスミッターと組み合わせることで、MacBookからの高品質なオーディオ体験が可能になります。
MacBookでハイレゾ音源を楽しむ設定方法
MacBookでLDACが使用できなくても、ハイレゾ音源を最大限に楽しむための設定は可能です。まず、システム設定から適切なオーディオ設定を行うことで、内部処理の段階での音質を最適化できます。
MacBookのオーディオ設定を最適化するステップは以下の通りです：
- 「システム設定」>「サウンド」を開く
- 「出力」タブで使用するオーディオデバイスを選択
- 「オーディオMIDI設定」を開く（「Spotlight」で検索するか、「アプリケーション」>「ユーティリティ」フォルダ内にあります）
- 左側のデバイスリストから使用中のオーディオデバイスを選択
- 「フォーマット」設定で可能な限り高いサンプルレートとビット深度を選択（例：96kHz, 24-bit）
これらの設定により、MacBookが処理するオーディオの品質は向上しますが、Bluetooth接続時には依然としてAACまたはSBCコーデックの制限があることに注意が必要です。より高品質な出力を得るためには、USB-DACや光デジタル出力を使用することをお勧めします。
ハイレゾ音源を再生するソフトウェアにも注目する必要があります。iTunes/Apple Musicでは一部の設定が制限されるため、以下のような専用オーディオプレーヤーを検討するとよいでしょう：
- Audirvana
- VOX
- JRiver Media Center
- Amarra
これらのアプリケーションは、DSDやFLACなどのハイレゾフォーマットをネイティブサポートし、オーディオエンジンがシステムのミキサーをバイパスすることで、より純粋な信号経路を確保できます。
また、Apple Musicのロスレスオーディオを活用する場合は、設定から「ロスレス」または「ハイレゾロスレス」を有効にする必要があります。ただし、Bluetoothヘッドホンで聴く場合は依然としてAACコーデックの制限があるため、有線接続または前述の外部デバイスを使用することをお勧めします。
MacBookでサンプリングレート変更で音質向上させる方法
MacBookで音質を向上させるもう一つの重要な設定は、サンプリングレートの調整です。適切なサンプリングレートを設定することで、オーディオ信号の処理品質を最大化できます。
サンプリングレートとは、デジタルオーディオが1秒間に何回サンプリングされるかを示す値で、一般的にはキロヘルツ（kHz）で表されます。CDクオリティは44.1kHz、ハイレゾオーディオは96kHzや192kHzなどの高いサンプリングレートを使用します。
MacBookでサンプリングレートを変更するには、以下の手順に従います：
- 「アプリケーション」>「ユーティリティ」>「オーディオMIDI設定」を開く
- 左側のデバイスリストから使用中のオーディオデバイスを選択
- 「フォーマット」ドロップダウンメニューから希望のサンプリングレートとビット深度を選択
- 例：「96000.0 Hz」「24ビット」
サンプリングレートを選択する際の一般的なガイドラインは以下の通りです：
- ソース素材のサンプリングレートと一致させる（最も忠実な再生が可能）
- 一般的なソースのサンプリングレートの倍数を選ぶ（例：44.1kHzの2倍である88.2kHz）
- 複数のサンプリングレートを扱う場合は、対応できる最高のレートを選択
注意点としては、サンプリングレートを上げるとCPU使用率が増加し、バッテリー消費も増える可能性があります。また、高いサンプリングレートを設定しても、ソース素材のサンプリングレートを超える情報が増えるわけではありません。
外部DAC/アンプを使用している場合は、そのデバイスの最適なサンプリングレートを確認することも重要です。一部のDACは特定のサンプリングレートで最高の性能を発揮するように設計されています。
GitHubの情報によれば、一部のBluetoothコーデック設定もサンプリングレートに影響を受ける可能性があります。例えば、LDACに関するコメントでは「LDACは44kHz（オリジナル信号の劣化なし）に常に強制する」という言及があり、高サンプリングレートよりも安定した伝送を優先する場合があるようです。
有線接続でハイレゾ音質を確保する選択肢
ワイヤレスオーディオの便利さは魅力的ですが、最高の音質を追求するなら、有線接続は依然として最も信頼性の高い選択肢です。MacBookでLDACが使用できないことに悩むよりも、有線接続に切り替えることで、コーデックの制限なく最大限の音質を享受できます。
Apple Communityの回答者も「音質が最優先なら、有線ヘッドホンを使用すれば、Bluetoothの制限を完全に回避できます」と述べています。有線接続の主なメリットは以下の通りです：
- コーデックによる圧縮がないため、音質の劣化が最小限
- レイテンシー（遅延）がほぼゼロ
- バッテリー消費がない（ヘッドホン側）
- 接続の安定性が高い
MacBookと有線ヘッドホンを接続する方法はいくつかあります：
- 3.5mmヘッドホンジャック（一部の古いMacBookモデルに搭載）
- USB-C to 3.5mmアダプター（最新のMacBookモデル用）
- USB-DACを介した接続（さらに高音質を求める場合）
特に高インピーダンス（250Ω以上）のヘッドホンを使用する場合は、ヘッドホンアンプの使用を検討する必要があります。MacBookの内蔵アンプは出力が限られており、高インピーダンスヘッドホンを十分に駆動できない場合があります。
また、多くのハイエンドヘッドホンはバランス接続をサポートしており、これを活用するためにはバランス出力を持つDACアンプが必要になります。バランス接続では、左右チャンネルが完全に分離されるため、クロストークが減少し、よりクリアなステレオイメージが得られます。
有線接続は特に自宅やオフィスなど固定の場所での使用に適しています。移動中はBluetooth接続の便利さを優先し、集中して音楽を楽しむ時間は有線接続に切り替えるという使い分けも効果的です。
GitHubの情報によれば、「非破壊的なデジタルボリュームコントロールには24ビットが有用（32ビットはさらに優れている）」とされており、有線接続であればこれらの高ビット深度を最大限に活用できます。
まとめ：MacBook LDACの今後の可能性と現状の対策
最後に記事のポイントをまとめます。
- 現時点でMacBookはSonyのLDACコーデックを公式にサポートしていない
- MacBook Pro、MacBook Air、M1/M2モデルを含む全てのMacBookはLDAC非対応
- MacBookが標準でサポートするBluetoothコーデックはAACとSBC
- Appleはエコシステムとビジネス戦略の観点からAACコーデックを優先している
- 外部Bluetoothトランスミッターを使用することでLDAC接続が可能
- FiiO BTA30ProなどのトランスミッターはMacBookからLDACヘッドホンへの橋渡し役になる
- HiBy R3 ProなどのポータブルプレーヤーもLDACトランスミッターとして機能する
- USB-DACと組み合わせることでさらに高品質なオーディオ体験が可能
- オーディオMIDI設定からサンプリングレートを最適化することで音質向上が見込める
- MacBookでハイレゾ音源を楽しむには専用の音楽プレーヤーソフトが有効
- 最高の音質を求める場合は有線接続が依然として最も信頼性の高い選択肢
- 将来的にAppleがハイレゾオーディオに注力する可能性はあるが現時点では不明
- ターミナルコマンドでAACコーデックのビットレートを調整することで音質改善が可能
MacBookとLDACの関係は今後変化する可能性があり、特にApple Musicのハイレゾサービス展開に伴い、高品質コーデックのサポートが強化される可能性もあるが、現状ではLDAC対応トランスミッターか有線接続が最適解である
ポチップ
